2025年11月29日(土)、第456回飯田橋トーストマスターズクラブ通常例会が、神保町区民館の和室にて開催されました。
今回は「AI時代を生き抜くコミュニケーション能力を獲得しよう」というテーマのもと、会員10名に加えて、エリアディレクターのD. L.さんやゲストのK. Y.さん、N. T.さんなどをお迎えし、和やかな雰囲気の中で行われました。
★ミニコーナーと今夜の言葉「鉄火場」
今夜のトーストマスターを務めたH. S.さんの提案により、例会はミニコーナー「グッド&ニュース」でスタート。
参加者は年末を控えた「1ヶ月以内に起こりそうな良いこと」を想像し、前向きなニュースを共有することで、会場は一気に明るいムードに包まれました。
I. Y.さんによって紹介された今夜の言葉は「鉄火場(てっかば)」。
これは、博打をする場所を指す言葉で、普通ではない激しい危険な、命がけになるような緊迫した状況を意味します。この刺激的な語彙をスピーチで使うことが推奨され、例会は緊張感と好奇心を持って進められました。
★準備スピーチ:二つの異なる世界と学び
今回の例会では、パスウェイズ・レベル3に挑戦する2本の準備スピーチが披露されました。
1. H. J.さん:「考えが通じる瞬間(同人誌即売会)」
H. J.さんは「効果的な視覚資料の作成」プロジェクトとして、ご自身のオタク歴30年の経験をもとに、同人誌即売会の世界を解説しました。
H. J.さんは、同人誌を作るクリエイターたちの根源的なモチベーションは、「王様の耳はロバの耳状態」のように、誰かに「言いたくてたまらない」という創造衝動であると分析。また、インターネットではなく、あえて高コストをかけてまで**「本」にし、ダイレクトな反応を求める**ことの意義を説明しました。
そして、トーストマスターズでのプレゼンもまた、聴衆と「考えが通じる瞬間」を共有する営みであると結びつけ、私たちに身近な学びとして提示しました。
2. H. S.さん:「楽しめたら100点」
H. S.さんは「ストーリーテリングを理解する」プロジェクトとして、大人になって始めたピアノの発表会での挫折と克服のストーリーをダイナミックに語りました。過去の発表会で大失敗し、人前で弾くことから離れていたH. S.さん。
しかし、「間違えてもOK、ゆるっと聴くピアノ発表会」というキーワードに惹かれ、再挑戦を決意します。本番直前、主催者から「演奏の出来ではなく、楽しめた度合いが何点だったかを大切にしてほしい」というメッセージを受け取り、心が解放されます。
ミスタッチはあったものの、「楽しめた度合いは100点満点」だったという感動的なスピーチで、聴衆に失敗を恐れず「楽しむこと」の大切さを伝えました。
このスピーチは会員の共感を呼び、見事ベストスピーカー賞を受賞しました。
★テーブルトピックス:知的好奇心を刺激する即興会話
このコーナーは、Y. M.さんがテーブルトピックスマスターを務めました。
彼は会社を定年退職後、日本語学校で外国人の留学生と交流している経験を基に、コーナーを設定しました。留学生の約半分が中国出身で、その他にミャンマーやアフガニスタン、ヨーロッパ出身の学生が参加しているという背景が紹介されました。
テーブルトピックスは、「皆さんは日本語学校の先生です。私(テーブルトピックスマスター)は生徒です」という設定で行われました。
生徒であるテーブルトピックスマスターから、日本に来て感じた様々な「不思議な習慣」について質問が投げかけられ、先生役の参加者(会員やゲスト)が即興で回答を求められました。
留学生(ーブルトピックスマスター)から投げかけられた具体的な質問は以下の通りです。
1. 電車内での行動と飲酒時の行動:
日本人はマナーを守り電車の中は静かなのに、お酒を飲むと大きな声で話すのはなぜか?
2. ゴミの分別:
燃えるゴミ、燃えないゴミ、プラスチック、ペットボトル、ビン、缶など、ゴミの分別が非常に面倒なのはなぜか?
3. コンビニの多さ:
セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートといったコンビニが非常に多く、同じ駅前にセブンイレブンが2つも3つもあるのはなぜか?
4. 「道」がつく文化:
柔道、剣道、弓道、茶道、書道など、スポーツや文化に「道(どう)」がつくのはなぜか?
5. 言葉の短縮:
スマホ、コンビニ、リモコン、エアコン、パソコン、アザス(ありがとうございます)など、日本人はなぜ言葉を短くして言うのか?
質問に対し、D. A.さん、N. T.さん、A. H.さん、T. Y.さん、K. Y.さんといった参加者が先生役として即座に回答しました。
• 電車内の静けさと飲酒時の騒がしさ:
D. A.さんは、お酒を飲んで声が大きくなるのは日本人特有の現象ではなく、世界共通のものであると指摘しました。
また、電車内でマナーを守る日本人の傾向と、飲酒時の行動には相関関係がないと説明しました,。
• ゴミの分別:
ゲストのN. T.さんは、日本人はルールが好きで、自分で決めるよりも誰かが決めたことを守るのが楽だから、細かなルールであっても従うのだという見解を示しました。
• コンビニの多さ:
A. H.さんは、セブンイレブン同士が近くに存在する理由として、商業的な戦略を挙げました。本社の売上を増やすために近くに店を作り、最初のチェーン店を「潰す」ような競争があるからだと解説しました。
• 「道」がつく文化:
T. Y.さんは、「道」に含まれる意味は、勝ち負けだけではなく、正しい姿勢や行い、振る舞いが含まれていると説明しました。
茶道でいえば、お茶が美味しいだけでなく、お客様へのおもてなしの気持ちを含めた振る舞いが大切であると述べました。
• 言葉の短縮:
ベストテーブルトピックス賞を受賞したK. Y.さんは、短縮の理由について「口が疲れるから」という説を披露しました。日本語は漢字などの情報量が多いため、短縮しても情報が伝わるという言語特性を根拠として挙げました。
• お題の普遍性:
全員が日本人であるため、「ああ」と共感できるお題だったこと。
• 状況設定の明確さ:
質問の状況設定(日本語学校の生徒と先生)が明確で、質問が分かりやすかったこと。
• 参加者全員の思考促進:
当てられそうな人だけでなく、参加者全員が「なぜだろう?」と一緒に考えられる質問だったため、どの答えを聞いても納得感があり、楽しいコーナーになったこと。
投げかけられた主な質問と、それに対する参加者の即興回答のまとめは以下の通りです。
| 質問 (日本の不思議) | 回答者 | 回答の要旨 |
| 電車内は静かなのに、飲酒すると騒がしくなるのはなぜか? | D. A.さん | お酒を飲んで声が大きくなるのは万人共通であり、電車内でのマナーと飲酒時の行動に相関関係はない。 |
| ゴミの分別はなぜこんなに面倒なのか? | N. T.さん | 日本人はルールが好きであり、誰かが決めたことを守るのが楽なので、細かなルールでも従う。 |
| コンビニが多すぎる(同じ駅前に複数ある)のはなぜか? | A. H.さん | 商業的な戦略であり、本社が売上を増やすために近くに出店し、競争(鉄火場)が起きている。 |
| 柔道や茶道に「道(どう)」がつくのはなぜか? | T. Y.さん | 「道」に含まれるのは勝ち負けだけでなく、正しい姿勢や行い、振る舞い(おもてなしの気持ち)を含めた、その分野を極めるための心構えである。 |
| スマホ、エアコン、アザスなど、言葉を短縮するのはなぜか? | K. Y.さん | 日本語は情報量が多いため短縮しても情報が伝わりやすく、一言で言えば「口が疲れるから」である。 |
ゲストの勝田 雄貴さんは、言葉の短縮に関するユニークな回答で会場を沸かせ、見事ベストテーブルトピックス賞を受賞しました。
総合論評では、このコーナーは「めちゃくちゃ面白かった」と評価され、特に参加者全員が共感できるお題であり、質問の状況設定が明確だったため、一体感を生んだと評されました。
最後に、テーブルトピックスマスターのY. M.さんは、参加者が迷うような「ね」と「よ」の使い分けに関する補足説明を行い、コーナーを締めくくりました。
このコーナーにより、普段意識しない日本の習慣について深く考える機会が提供されました。
★総合論評とゲストの感想
今回は、準備スピーチ2本に対し、参加者全員が1分ずつ論評を行う「論評大会」形式が試みられ、多角的なフィードバックが活発に行われました。
ゲストの皆様からは、クラブの雰囲気の良さや例会の質の高さについてお褒めの言葉をいただきました。
エリアディレクターのD. L.さんは、例会がとても楽しい雰囲気だと感想を述べました。また、K. Y.さんは例会への再入会を前向きに検討されていると宣言されました。
H. S.さんは、ゲストへの温かい配慮と、終始例会全体のエネルギーを高く保ち続けた点について、総合論評で高く評価されました。
★次回例会とクラブからのメッセージ
飯田橋トーストマスターズクラブでは、今回のように和室での開催(神保町区民館)など、会場の雰囲気も楽しみながら活動しています。
次回イベントとして、12月20日(金)にはクリスマス例会が予定されています。私たちと一緒に、人前で話すスキルだけでなく、コミュニケーションを通じた「考えが通じる瞬間」や「楽しむこと」の大切さを学びませんか?
飯田橋トーストマスターズクラブは、いつでもゲストの皆様を歓迎しています。ぜひお気軽にお越しください。
